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トミジの海

 

齋藤 富嗣 話

本田 豊國 絵

 

あらすじ
宮城県石巻市鮎川浜の漁師、齋藤 富嗣さんが、2011年3月11日の東日本大震災で小舟で津波を何度も乗り越えた体験を描いた作品。

鮎川浜でワカメの養殖をして暮らしているトミジ。一家で浜で作業をしている時に地震に遭遇する。地震が来たら、津波が来る。昔からの言い伝えどおり「高い所へ逃げろ」と皆に言ってまわった。津波が来たら、船を沖に出す。これも昔からの言い伝えだ。

トミジは6メートルほどの小舟で海に出た。海は山のようにもりあがり、10メートルはあった灯台も見えない。トミジの小さい船は引き波で落ちていく。引き波は町からあらゆるものを奪っていった。その光景に死を覚悟するが、降ってきた雪に触れ、「生き延びる」と決意し、津波の山を登った。そうして生きて夜明けを迎えた。


感想
臨場感あふれる画が、津波の恐ろしさを伝えています。海がすべての生活を「ただのガレキ」にして、沖へ流れていく場面は、そこにいたトミジさんの気持ちを思うと、胸が苦しくなります。東日本大震災から4年8か月過ぎましたが、風化させないためにも、この作品の持つ意味は大きいと思いました。


読み聞かせには

小学校低学年から大人まで。

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