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クマと少年

 

あべ弘士 作

ブロンズ新社

2018年5月発行

 

あらすじ

昔、北の大地アイヌのコタン(村)に一人の少年が生まれました。少年は、アイヌにとって神であるクマの子どもキムルンと一緒に兄弟のように育てられました。少年はキムルンが大好きでキムルンも同じでした。

冬のある日イオマンテ(クマおくり)がやってきました。イオマンテとは大事に育ててきた子グマを神の国に帰す儀式で子グマに死んでもらい、その魂を祀るものです。少年は初めてイオマンテを見てクマの肉のご馳走を食べました。次の年、キムルンがイオマンテのクマに決まりました。おりで暮らすようになったキムルンでしたが丸太が外れ、雪の上に落ちそのまま山に消えてしまいました。少年はその姿を見ていました。8年が過ぎ少年はエカシ(長老)からキムルンを神の国に帰すための弓と矢を渡されました。長旅の末、少年はキムルンと出会いました。キムルンはあの日逃げたのではなく、少年の矢で神の国に帰してほしかったのだと語ります。少年は矢に祈りを込め放ちました。

湖から数えきれないほどの水鳥が飛び立ち、少年は涙して湖にたたずんでいました。


感想

アイヌ民族に伝わるイオマンテの儀式を美しく悲しく描いた絵本です。絵に動きがあり、アイヌの生活がよく伝わってきます。文も丁寧で美しい表現です。民族について考える授業があったら、副読本してもいいような絵本だと思いました。


読み聞かせには

小学校低学年から大人まで。

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